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  • 住宅設計、特にリフォーム提案においては、建築の知識やデザイン能力以上に、施工方法のノウハウや暮らしの知恵が求められます。そのため普段の暮らしの中で、気になることや困っていることを解決するアイデアや、あまたある建築部材の商品知識とその技術情報を常々ストックしておくことが大切です。
  • 私は普段からスケッチ用のノートを持ち歩いていて、見聞きしたり考えたことなど、さまざまなアイデアや情報を書き留めています。独立以前から書きためたノートはすでに20冊を超え、そこには私の苦悩と発見の歴史が詰まっています。そんな日々の努力の積み重ねが、暮らしやすいデザインに結びついているものと自負しています。
  • このページでは、そんなスケッチの中から、住まいづくりに役立つアイデアをご紹介します。内容は随時更新していきますので、これからリフォームを始めようとする方はもちろんのこと、新築を予定されている方も、ぜひご参考にしてください。
  • (出典:中西ヒロツグ「暮らしやすいリフォームアイデアノート」エクスナレッジ/2014)

快適な住まいをつくるアイデア ーキッチンー

キッチンは家族を映す鏡

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  • 住まいで最もリフォームの要望が多い場所は、キッチンです。長年使い込まれたキッチンは設備が老朽化し、使い勝手も悪くて、日々の暮らしの中で一番不満がたまる部分なのでしょう。建主からは「家族が集まる開放的なキッチンにしたい」「最新の機器で使いやすくしたい」といった要望を多く受けます。
  • ひとくちにキッチンリフォームと言っても、システムキッチンを交換するだけで問題が解決するわけではありません。キッチンの位置やレイアウトだけでなく、ダイニングとの関係をどうするかで、家族のあり方が変わってきます。
  • 一般的に、キッチンとダイニングの関係には、独立型と一体型があります。また、キッチン本体には、壁付け型、対面型があり、さらにカウンターの形状の違いで、I型やL型、U型、Ⅱ型などに分けられます。
  • 独立型のキッチンは、誰にも邪魔されず本格的な料理を楽しむ人に適していますが、ダイニングとのつながりが薄いため、料理する人が家族から孤立しがちです。一方、一体型キッチンはダイニングの一角で料理ができるので、寂しさもなく家族の協力も得やすい形です。ただし、ダイニングからキッチンがよく見えるので、いつも綺麗にしておかなければならないのが難点です。
  • I型やL型など、どのレイアウトが使いやすいかは、使う人の慣れや好みによることが多いですが、むしろ動線やダイニングとの関係を考慮して、プランに応じて考えたほうが良いでしょう。ただひとつ気を付けないといけないのは、料理の手順に沿ったレイアウトが重要だということ。保存、洗浄、加工、調理、盛り付けの順に機器類が配置されていることが使いやすさの基本です。
  • 家族構成や夫婦と子供の関係をイメージしながら、料理する人の性格やクセを踏まえて、キッチンを計画することが必要です。

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ごちゃつきを隠せる対面式キッチン

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  • キッチンのリフォームでは、「アイランドキッチンにしたい」という要望をよく聞きます。確かにオープンなアイランドキッチンなら、リビング・ダイニングなど広い空間を見渡せて気持ちが良さそうですが、実際にはいつもキッチンを綺麗にしておかなくてはならず、調理中や後片づけ中の音にも気を遣うため、使いこなすにはそれなりの覚悟が必要です。
  • また、現実的な問題として、アイランドキッチンはカウンター面積が広い分、コストが割高になります。L型やU型も同じで、同等のサイズで比較した場合、コストパフォーマンスが一番高いのはI型です。
  • そこで私が良く提案しているのは、造作カウンター付きのI型キッチンです。I型キッチンはシンクとコンロが一列に並んだキッチンで、通常、壁に向かって設置されるのですが、大工さんに、ダイニングとの間に腰壁カウンターを造ってもらい、これに向かってキッチン本体を取り付けます。腰壁カウンターの高さを1・1m程度にするとキッチンの手元を隠すことができる上に、カウンター下を食器棚などの収納に利用したり、高めのスツールを置いて簡単な食事コーナーにも利用できます。
  • これならキッチンを多少散らかしていても気にならず、気兼ねなく料理に集中することができます。ダイニング側からはキッチンの天板があまり見えないので、見た目を気にする必要がありません。
  • さらに、キッチン上部に吊り戸棚を設けず、ダイニングの天井と連続させると、ダイニングとの一体感が生まれ、空間を広く感じさせることができます。吊り戸棚を設けなくても、キッチンの背面(壁側)に天井いっぱいの家電収納棚や食器棚を配置すれば、十分な収納量を確保することが可能なので、ぜひ参考にしてみて下さい。

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広いキッチンより狭いキッチン!?

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  • オーブンレンジ、フードプロセッサー、ホームベーカリー、コーヒーマシーン、ホットプレートなど、ひと昔前に比べると、キッチンに持ち込まれる機器はずいぶん増えました。また、多彩な食材や保存食、調味料など、キッチンはものがあふれんばかりに多い場所です。
  • ものが多いから広いキッチンの方が使いやすいかというと、そう単純ではありません。面積が広い分、キッチン本体とキッチン収納や冷蔵庫が離れていると、効率の良い作業ができません。幅があり過ぎるキッチン本体も調理中の移動が多く、必要以上に疲れます。
  • よくよくお話を伺うと、「キッチンをできるだけ広くしたい」という要望のほとんどは、作業スペースではなく収納の問題です。一番重視すべきなのは必要な場所に必要な物を収納すること。そのためにも使う頻度に応じた収納計画が大切です。共働き家庭が一般的になり、食材をストックすることが多くなった今日では、小さくても良いので食品庫(パントリー)が必要です。
  • 私の経験上、Ⅰ型キッチンの幅は「2400(2.4m)」がちょうど良いサイズです。戸建住宅の場合では、一間半の間口内法にピッタリ納まる幅が「2550(2.55m)なので、このだけあれば十分でしょう。
  • 重要なのは背面に十分な収納があること。特に電子レンジやオーブン、炊飯器など、毎日使う家電製品は、振り返ってすぐの場所にあることで使い勝手が向上します。
  • また、立ったまま手の届く高さは最も使いやすいエリアなので、使用頻度の高いものを収納するのに適しています。手の届かないところは使用頻度の低いものの収納に充てることで、スペースを効率良く生かせます。吊り戸棚をできるだけ低く取り付けて機動的な収納スペースを増やすことで、コンパクトで使いやすいキッチンが生まれます。
  • 自分の身長や動作範囲をよく分析すれば、必要なサイズが見えてくるので、ショールームで実物を見ながら、ぜひカスタマイズしてみてください。

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狭い部屋ならキッチンは壁付けに

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  • 対面式のオープンキッチンは、キッチンの背面に大型の壁面収納を確保しやすい反面、壁付けキッチンよりも作業スペースが必要なため、かなりの床面積を取られてしまうのが難点です。狭い空間で無理に対面式にしても、キッチン本体が邪魔になり、かえって使い勝手が悪くなることがあります。
  • 狭小住宅では、キッチン専用のまとまったスペースを確保しにくいのが実情です。限られたスペースを効率良く活かすには、壁面や高さを活用した収納計画が欠かせません。
  • ダイニング・キッチンが狭い場合は、むしろ壁付けキッチンがお勧めです。以前手掛けた建坪わずか9坪というTさんのお宅では、8畳という限られたスペースをLDKとして使うため、西側の壁一面に、必要な機能を集約した特注のキッチンを製作しました。
  • 具体的には、間口2間(約3・6m)にⅠ型の壁付キッチンと冷蔵庫を一列に納めました。冷蔵庫は奥行きが65㎝でキッチン本体とほぼ同じなので、すっきりまとまります。シン狭い部屋ならキッチンは壁付けにクの左側は家電収納のオープン棚と食器・食材収納にしました。奥行きのあるカウンター下は引き出し収納にして、調理器具や食器などが取り出しやすいよう考えました。
  • さらに、吊り戸棚を通常より少し低めに取り付けて、使い勝手を向上。湿気が溜まりがちなシンク下はオープンにして、移動可能なゴミ箱の置き場所にしています。
  • 既製のシステムキッチンで思い通りの組み合わせができない時には、Tさんのように思い切ってキッチンのオーダーメードを考えてみるとよいでしょう。空間に合わせて必要なものが必要な場所に収まるよう工夫することで、コンパクトでありながらも、機能的なキッチンにすることができます。

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見た目もスッキリする冷蔵庫の置き場所

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  • 対面式のキッチンレイアウトで一番頭を悩ませるのは冷蔵庫の置き場所です。一般的な冷蔵庫の奥行きはキッチン本体と同じ65㎝程度なのでキッチンの横に並べるとスッキリ納めることができますが、食器棚と一緒に並べる場合は、一般的な食器棚の奥行きが45㎝程度のため、冷蔵庫だけが出っ張ってしまうことに。以前は薄型の冷蔵庫も販売されていましたが、需要が少なかったせいか、残念ながらいつの間にか消え去ってしまいました。
  • レイアウト的には、シンクの近くに冷蔵庫を配置するのが基本ですが、通路に冷蔵庫だけが出っ張っていると、かえって使い勝手が悪くなってしまいます。
  • そこで、冷蔵庫スペースの背面の壁を凹ませる工事をすれば、食器棚との前面がそろって見た目が美しく、作業のじゃまになりません。背面の壁に細工ができない場合は、逆に収納の奥行きを冷蔵庫に合わせて深くしてしまえば、見た目も使い勝手も良いキッチンクロゼットとすることができます。
  • ちなみに、冷蔵庫の扉は基本的に右開き(向かって右側に吊り元)のため、キッチンの左端に冷蔵庫を置く場合は左開きのタイプに買い替えないと使いづらくなります。一部のメーカーでは左右どちらにも開くタイプの商品もありますが、一番使い勝手が良いのは、両開き(フレンチドア)タイプの冷蔵庫。これだと正面に立ったまま食材を取り出すことができ、開け閉めするスペースも少なくて済むのでお勧めです。
  • たかが冷蔵庫、されど冷蔵庫。リフォームや新規購入の際には、キッチンレイアウトを含めてしっかり検討することが重要です。

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快適な住まいをつくるアイデア ー水廻りー

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